大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡家庭裁判所熱海出張所 平成2年(家)138号 審判

主文

被相続人丙田マサの遺産である別紙物件目録記載の不動産は、申立人甲野花子及び相手方9名の共有取得とし、その持分は申立人甲野花子は33分の1、相手方乙野春子、丙田一郎、丙田二郎及び丙田三郎は各33分の6、相手方戊川次郎及び己川月子は各33分の1、相手方丙田六郎、丙田朝子及び丙田夕子は各33分の2とする。

本件手続費用は各自の負担とする。

理由

1  相続の開始、相続人及びその法定相続分

本籍(省略)丙田マサ(明治34年9月7日生)は、昭和63年5月12日死亡し、その相続人は、嫡出である子乙野春子、丙田一郎、丙田二郎及び丙田三郎の4名、嫡出でない子亡戊川太郎(昭和38年11月11日死亡)の代襲者甲野花子、戊川次郎及び己川月子の3名、嫡出である子亡丙田四郎(昭和62年9月19日死亡)の代襲者丙田六郎、丙田朝子及び丙田夕子3名であって、その各自の法定相続分は、申立人甲野花子、相手方戊川次郎及び己川月子の3名は各33分の1、相手方乙野春子、丙田一郎、丙田二郎及び丙田三郎の4名は各33分の6、相手方丙田六郎、丙田朝子及び丙田夕子の3名は各33分の2である。

2  遺産の範囲、状況、当事者の意見等

被相続人丙田マサの遺産は、別紙物件目録記載の不動産であって、その現況は未使用のままであり、特別受益及び寄与分については、当事者から特に具体的な主張はなされていない。申立人を除く当事者は概ね法定相続分による遺産分割を希望している。

ところで、本件の申立は、民法において嫡出でない子の法定相続分が嫡出である子の法定相続分の半分になっているのは法の下の平等に反するので両者について均分の割合による遺産分割を求めるというものであるが、法定相続分の割合を如何に定めるかはその国の立法政策の問題であって、しかも昭和54年7月に法務省民事局参事官室が公表した「相続に関する民法改正要綱試案」において、嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子の法定相続分と同等化する旨の提案をし各界の意見を求めた結果、同等化に反対する者の数が賛成する者よりもかなり上回った等の事情から、国会において審議の末に改正が見送りとなった経過に照らしてみても、現行法の許において、申立人の希望に沿ってその共有持分を18分の1とすることはできないと言わざるを得ない。

3  以下の次第であって、その他本件記録に顕れた一切の事情を考慮し、主文のとおり審判する。

(別紙省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例